はじめに
中古品、もしくは新古品、それらを手入れしてきれいにした商品を販売したり、交換したり、レンタルしようとする場合に必要なのが「古物営業許可」というものです。
リサイクルショップでも始めてみようかな!?
個人でも簡単にインターネットサイトを開設してビジネスができる時代ですから、中古品を仕入れて売る、中古品を仕入れて手直ししてレンタルする…など、気軽に始めてみる方も多いかも知れません。
大げさにやるわけじゃないから平気だよね!?
いえいえ、多少のおこずかい稼ぎのつもりだから、利益がそんなに上がっていないから…こんな場合は要注意です。利益を出すつもりで継続的に「古物」を取り扱うと、それは古物営業にあたり許可が必要です。くれぐれも甘く考えて、無許可営業などにならないようにしましょう。
お店じゃないよ。ネット販売だけだよ!?
ネット販売のみでも、警察のサイトでは許可を受けた業者一覧としてURLが公開されています。ここにURLの記載がない業者は、法律違反の可能性がある、ということです。
もしお客がそのURL一覧を確認したときに、あなたのサイトURLがなければ、「許可を受けていないのかも?あやしいのかな?」と不安に思うかも知れません。そうなるともうビジネスは成り立ちませんね。また、本当に無許可のまま古物営業を続けていると、厳しい罰則が科されることになります。
許可を受けてさえいれば安心だね!
はい。「古物」を取り扱う事業を行う際には、きちんと警察に登録をして、営業許可を取りましょう。ここではその許可を取るにはどうすればよいのか、具体的に流れを解説いたします。
許可取得のための要件を確認
いざ、申請しようとやってみたら、要件を満たさないからってそもそもダメだった…と言うことがあります。申請前に、自分はその要件を満たしているのか、確認しておきましょう。
1.欠格事由
以下に当てはまる方は、基本的に古物営業許可を取ることができません。
①自己破産中である、または破産宣告を受けて復権していない
②犯罪歴がある(禁錮以上の刑に処せられたor特定の犯罪で罰金刑を受けた)
③暴力団員もしくはその関係者
④住所が定まっていない
⑤古物営業許可を取り消されて5年経過していない
⑥古物営業許可の取り消しを避けるため許可証を返納してから5年経過していない
⑦心身の故障により判断能力に不安がある(認知症など)
⑧未成年者
⑨管理者として適切でない者を管理者に選んでいる
⑩法人であれば役員の中に①~⑦に該当する者がいる
この中に当てはまるものがないことを確認できたら、次の要件です。
2.営業所
古物商として営業するには、営業所が必ず必要になります。
ネット販売だけだとしても、その事務作業を行う場所として営業所を登録しなければなりません。自宅が住居専用になっている賃貸物件や、他人所有の物件であれば「使用承諾書」を添付する必要があり、申請のハードルが高くなります。
また実体のないバーチャルオフィスや、駐車場、保管するだけの倉庫等は営業所とは認められませんので、注意が必要です。
営業の形態を決める
法人でビジネスを始める方は、営業許可を個人でとるのか、法人でとるのかを決めます。この営業許可を個人でとった場合、実際の営業を法人で行うと法律違反となります。
個人と法人では提出する書類も大きく変わってくることから、事前に検討して臨みましょう。
そして取扱品目を決めます。申請書には一つしか記入することができません。実際に取り扱うものをメインとして一つ決めて、他にも扱う品目があればそれらはサブとして申請します。
警察署への事前相談
申請書は最寄りの警察署で受け取ることもできますし、警察のHPからダウンロードすることもできます。おススメは一度申請書を取りに行きがてら、ご自分の申請内容、必要書類を確認してくることです。これは申請を行う警察署でなくとも、最寄りの警察署で可能です。ただし申請する警察署と同じ都道府県内の警察署にします。
事前に相談・確認をしておけば、いざ申請してみると書類に不備があった、訂正だらけでやり直しになった…と言うことが、限りなく少なくなると思います。
必要な添付書類を集める
申請書に添付する書類は数が多く、収集に時間がかかるものもあるため、できるものから準備していきましょう。
①申請人本人と管理者の住民票の写し (法人の場合は、役員全員と管理者)
→本籍地(外国人は国籍)記載のもの
②申請人本人と管理者の身分証明書 (法人の場合は、役員全員と管理者)
→本籍地の市区町村で発行されるもので、被後見人、被保佐人、破産者ではないことを証明するものです。いわゆる免許証やマイナンバーカードではないことに注意!
③登記事項証明書 (法人のみ)
④会社定款 (法人のみ) →裏に朱書きで原本証明を入れます。
※個人の場合は、申請人本人=管理者となることが多いので、その場合本人の書類のみで大丈夫です。
以下の書類は、必要な場合に集めます。
⑤URLの使用権原があることを疎明する資料(HPを開設して営業する場合)
→「登録者名」「ドメイン」「発行元(プロバイダ名)」の3点が確認できるもの。
⑥営業所の賃貸借契約書(営業所が賃貸の場合)
⑦営業所の使用承諾書(営業所が賃貸の場合)
⑧駐車場の賃貸借契約書(中古車を扱う場合) 等……
行おうとする営業内容によって変わってくるので、他に必要な書類がないかどうか、事前相談の時によく確認しておきましょう。
申請書一式を作成する
①古物営業許可申請書
②管理者の略歴書(法人は役員全員分も)→過去5年の略歴
③管理者の誓約書(法人は役員全員も)
どれも各都道府県の警察のHPに記載例がありますので、そちらを参照にしっかり記入していきます。
営業所を管轄する警察署へ申請する
実際に申請を行うのは、主たる営業所(一つしかなければその営業所です)の所在地を管轄する警察署です。どこが管轄の警察署かは都道府県警HPで確認できます。
申請書一式、添付書類を持参しますが、出来れば事前に予約を取ることが望ましいです。基本的に平日の9時~16時が受付となっていますが、警察署も日々大量の業務に忙殺されているので、日時の調整をして行く方が待ち時間も少なくて済みます。
その時に、許可申請手数料19,000円を支払うので現金を忘れず持参します。クレジットカード、電子マネー、コード決済も利用可能です。
営業許可の取得
申請が受理されてから、営業許可が下りるまでおおむね40日とされています。
しかし休日が入ることを考えると大体2ヶ月くらいはかかるという目安でいればよいでしょう。
審査が終わり、警察署から許可の連絡を受けると許可証の交付を受けにいきます。
お疲れさまでした。堂々と「古物商」として営業を開始してください!
許可取得後にも気を付けたい!
許可証に記載されている事項に変更があって書き換えが必要になった、届け出ている事項に変更があった、という場合は、事前事後に申請が必要です。
<事前申請が必要なもの>
・主たる営業所が変わった
・営業所の名称を変更した
・営業所を移設した
・営業所を増やした
・営業所を廃止した
これらは変更の日の3日前までに申請します。
<事後申請が必要なもの>
個人の氏名、法人の名称(商号)が変わった
個人の住所、法人の所在地が変わった
法人の代表者の削除、追加、交代
法人の代表者の氏名、住所が変わった
行商「する」「しない」の変更
・取扱品目の区分の変更(メイン、サブとも)
・URLの追加、変更、削除
・営業所の管理者に関する変更(追加、交替、氏名・住所の変更)
・法人の役員の追加、削除、交替
・法人の役員の氏名、住所の変更
これらは変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付するものは20日以内)に申請します。
なお赤字で示した事項は、許可証の書換えが必要になるので、手数料1,500円がかかります。
一度、許可証の交付を受けると、その後は必要な申請を忘れがちです。
しかし、怠るとやはりいつの間にか法律違反…と言うことになりかねませんので、よくよくご注意ください。
まとめ
いかがでしたか?
古物営業許可の申請はご自分でも出来ることだと思います。
しっかり法律の目的を理解して、きちんと法律に沿った形で営業することが一番大事ですので、営業開始に先立ち、ご自分でチャレンジしてみるのも良いと思います。
ですが、ビジネスを始める時には他にもやるべきことが山ほどあるでしょう。副業として準備されている方は、なかなか平日に時間が取れないという方も多いと思います。
そんな時は、身近にいる行政書士を頼ってください。
何が必要か、しっかり聞いてアドバイスを行い、申請のための書類集めから作成、申請から許可証の受取りまでサポートすることができます。
行政書士は行政手続きに関する「書類作成の専門家」ですから、ご自分でやるよりも確実に、適切に申請を進めることができるでしょう。
古物営業許可の申請は、ぜひ行政書士にお任せください。
お問い合わせ、ご相談はお気軽にどうぞ。
行政書士わかぞの事務所