エンディングノートを書き終えた方、これでおしまい…ではありません。
書き終えたノートは、どんな形でしょうか?
市販のノート、バインダー式、手紙のような形、アプリ型…。
内容も「思い出中心」の方、「実用重視」の方、それぞれだと思います。
ですが、どんな形であっても、いったん完成してからのメンテナンスが本当の活用のコツです。
また、どんな風に保管して、どんなタイミングで誰に見てもらえるようにするか、そんなポイントも、行政書士としての実務をふまえて、お伝えできる最終回にしたいと思います。
1.定期的なメンテナンスで完成度をアップ
⑴自分の気持ちの変化
エンディングノートはその時々の自分の考え、希望、想いを書いているものなので、その後で少しずつ変わってくることがあっても不思議ではありません。
そんな時は遠慮せず書き直してしまいましょう。
先に書いた内容をきれいに消す必要はありません。
二重線で消す、バツ印を付ける(美しく残したい方は工夫してください…)等、元々書いてあったものが残っていた方が、どんな風に変化したのか、後から読む人にも伝わりやすいと思います。
特に、医療や介護に対する希望などは変わりやすいかも知れません。
「今の自分の気持ち」が、大きく変化したときには書いておくようにしましょう。
他にも気になっている施設の資料を加えたり、頼りになりそうな福祉関係者や医療従事者の方のお名前、その方にお願いできそうなことがあれば書き添えておくのも有効です。
⑵財産のリストは変わりやすい
例えば、
・カードや保険の契約を見直していくつか解約した
・預貯金口座もたくさんあったのを2~3口座にまとめた
・のちの手間を省くために不動産を売却した
・貴金属や美術品を譲ったり売ったりした
財産を一覧にしてみて、スリム化を図ろうとされた方はいらっしゃいませんか?
または数年、数十年の間には銀行の名前が変わったり、現金が必要になって売却処分を行う必要が出てきたりもするかもしれません。
亡くなった後、ノートに書いてあるのに見つからない、という状況は、事情を知っている家族がいれば良いのですが、そうでなければ逆に混乱を招きかねません。
もしも財産に変化があった場合は、その都度、どう処分したかとその日付を書き残しておきましょう。
※遺言書と財産の変動で注意すること
・遺言書に書いた財産でも、生前の処分は遺言者の自由
・処分した財産に関する遺言は「取り消したもの」と扱われる
・ただし、ノートの内容と大きく食い違うと家族が混乱する
➡ノートに「いつ、どう処分したか」を記録しておく。または遺言書の書き直しを検討。
エンディングノートには法的な効力はありません。
財産の分け方については、必ず遺言書で行う必要があります。
⑶お墓や葬儀に関して
ノートに書いていくために、ご家族で話し合ってみたり、改めてご自分で考えてみたりされた方が多いでしょう。
良いきっかけになったとすれば、これもエンディングノートの効果と言えます。
その上で、情報を集めるようになって、「葬儀に対する希望が変わってきた」「お墓を移しておこうと考えるようになった」…そんなときも、大きな変化があればノートに書き加えておきます。
自分で伝えられなくなったときに、自分のことを代わりに伝えてくれるのがエンディングノートです。
できれば、自分の変化についてもできるだけ反映させておき、ご家族や周りの方に自分の気持ちがきちんと理解してもらえるようにしたいですね。
2.医療情報と財産情報は「分けて保管」が安心
エンディングノートを書いたら、どこに置いておくのが良いでしょうか?
引き出しの奥深く、仏壇の後ろ、タンスの中…大事なことが山ほど書いてあるのですから、誰にでも見られては困ります。
そうかと言って、誰の目にも触れないまま、ではせっかく書いた意味がありません。
ましてや、いざという時にぜひ参考にしてほしい、自分の身体のことや医療のことも書いてあるのですから。
出来れば内容によって分けておくのが良いでしょう。
緊急時、自分に何かあった時にすぐ見てもらいたい医療や身体に関する内容、または介護に関する希望は、目につきやすい場所に出しておいても良いですね。
そして財産や家族関係、死後の葬儀やお墓に関する内容は、亡くなった後に見てもらえるよう、一言その旨を書き添えて、別にしまっておくのです。
すぐ見てもらう方のノートに、亡くなった後に見てほしいノートの保管場所を書いておきます。
そうすれば見つからないままということが避けられます。
分けられる形式でノートを作っていない場合は、後から見てほしい部分だけ、切り取って封筒に入れておくとか、「ここから先は亡くなった後に呼んでください」と書き添えておくなど、工夫してみてください。
3.いつ、誰に見てもらいたいですか?
ご家族と同居している。
おひとり暮らしだけれど、駆け付けてくれる親族がいる。
いざという時に、ご友人や近所の方が頼り。
家族はいるけれど疎遠になっている。
色んな方がいらっしゃると思いますが、ご自分が書いたエンディングノートを、誰に見てもらいたいですか?
ご自分で書き上げて満足であれば、それもひとつノートの良い効果です。
ご夫婦で書いて、お互い見せ合うこともあるかも知れません。
いざという時に頼る方がいるなら、それがご家族でもご友人でも、エンディングノートの存在を伝えておきましょう。
見てもらいながら、こんな時にはお願いしたい、とお話ができればなお良いですね。
まずはどんな時に、誰に読んでもらいたいか?
紙でもスマホのメモでも良いので、エンディングノートを見せたい相手を書き出してみましょう。
これだけで保管場所の決め方がぐっと楽になります。
4.エンディングノートの次に考えること
エンディングノートを書いてきて…
もしも認知機能が衰えて、自分で通帳を管理したり、日常生活の判断が出来ないような状態になったらどうするか?
そんなことにも考えが及んだ方は多いと思います。
また、頭ははっきりしていて判断もできるけれど、身体が思うように動かず、自分で銀行や役所の手続きが出来なくなったらどうしたら良いのか?
そして、認知症になって自分のことを自分で決められない状態になったらどうするか?
そんなときへの備えを今から考えておく、というのも、エンディングノートを書いたことで現実的になってくる次の目標です。
銀行などではあらかじめ「代理人登録」をしておくことで、本人に代わり口座の入出金ができる制度があります。
各金融機関によって差はありますが、同じようなサービスを設けている所が多いので、一度確認してみても良いですね。
また、信頼できる相手、頼りにしたい人が家族以外だという方は、きちんと契約という形を取っておかないと、いざという時にせっかくの好意が生かされない恐れがあります。
なぜなら、家族でもない第三者が、本人に代わって様々な事務を執り行うというのは、当事者同士での口約束では公的には認められないからです。
必要であれば、財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約などの契約を取り交わすということも検討してください。
本人の財産を処分するという行為は、家族であっても当然に代理でできる訳ではありませんので、その場合も事前にきちんと委任契約なり任意後見契約を交わしておく、という選択肢を考える必要があります。
一歩踏み出すことは、決して「終わり」への準備ではありません。
エンディングノートを書き、遺言書や契約書で「いざという時の安心」という土台を築き上げれば、あとは生きることを心から楽しむだけになります。
少し力を使って、未来への最高の準備をしてみましょう。
シリーズの最後に。
ここまで「エンディングノートの活用法」と題してお届けしてきましたが、いかがでしたか?
途中までしか書けていなくても大丈夫です。
一部でもあなたの想いがつづられたエンディングノートを、ぜひ大切に育ててください。
行政書士わかぞの事務所では、エンディングノートの書き方から、遺言・相続・終活全般に関することまで、ご相談をお受けしております。
「私の場合の相続はどうなるのだろう?」
「気になる家族がいるのだけれど、どうすれば?」
そんな風に、疑問や不安がある方は、はっきり分からないままでも大丈夫です。
お話を伺いながら、状況にあった進め方を一緒に考えていきましょう。
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