もうすぐ年末年始。実家への帰省を考えるとき「そろそろ実家のことや、将来の準備について話しておきたいな……」と頭をよぎることはありませんか?
しかし、いざとなると「縁起でもない!」と怒られないか、あるいは「財産を狙っている」と誤解されないかと、二の足を踏んでしまいがちです。
実は、終活の相談で行政書士を訪れる方の多くが、あなたと同じ「子世代」の方々です。
今回は、「なかなか切り出せない…」そんな悩みをお持ちの子世代の方に、この年末年始を逃さず、親子で前向きに将来を話し合うためのヒントをお伝えします。
なぜ、子世代から切り出す必要があるのか?
「親から言い出すのを待ちたい」という気持ちも分かります。
しかし、いざ認知症などで判断能力が低下してしまうと、銀行口座の凍結解除や介護契約、不動産の処分などが法的に非常に難しくなります。
「元気な今だからこそ、お父さん・お母さんの希望を叶えるために話したい」
これが、子世代から話を切り出す一番の理由です。
カドを立てない!切り出し方の3つのコツ
はじめから無理に「遺言」や「相続」という言葉を使う必要はありません。
自然な流れで話すためのステップをご紹介します。
1.「自分のこと」や「周りの話」をきっかけにする
「私の会社でも、老後の備えについて勉強会があったんだよね」
「友達が実家の片付けで苦労していたのを見て、他人事じゃないなと思って」
このように、「自分の関心事」として話題に出すと、親御さんも構えずに話に乗ってきやすくなります。
2.「親の希望を叶えたい」という姿勢を示す
「何かあった時、お父さんの意思を尊重したいから教えてほしい」
「お母さんが大切にしているものを、ちゃんと引き継いでいきたいから」
など、主体(主役)はあくまで親であることを伝えます。「管理したい」ではなく「味方になりたい」というスタンスが大切です。
3.「お正月」というタイミングを利用する
普段、離れて暮らしている方は特に、キーパーソンが集まるこの機会は貴重です。
ご両親の暮らしぶりの変化や、健康状態を確認して、情報共有しておきましょう。
そして必要だと思ったことから「来年、もっと安心して過ごせるように、一度整理しておかない?」と、新年の抱負(ライフプラン)の一環として提案してみるのです。
まずは「情報の整理」から
ここで行政書士としてアドバイスです。
はじめから「遺言」や「相続」と意気込むと、空気が重くなってしまうかも知れません。
まずはこんな情報を一緒に確認するだけでも、立派な終活の一歩です。
・「もしも」の時の連絡先(親戚、友人、かかりつけ医など)
・貴重品の保管場所(通帳、権利証、保険証券など)
・これからの暮らしの希望(自宅で過ごしたいか、施設も検討するか)
・お家の片づけ(使っていない大きな家具をどうするか?など身近な整理整頓)
もし、お話の中で「うちは不動産が複雑かも?」「兄弟で意見が分かれそう……」といった不安が出てきたら、そこが私たち専門家の出番です。
真剣に考えているからこそ
親御さんにとって、自分の老いや死を考えるのは勇気がいることです。
でも、お子さんから「お父さん、お母さんのことを大切に思っているからこそ知っておきたい」と言われて、嫌な気持ちになる親御さんは多くありません。
この年末年始、まずは美味しいお酒や料理を楽しみながら、少しだけ未来の話をしてみませんか?
切り出し方ひとつで、「終活は最高の親孝行」になるのです。
行政書士わかぞの事務所がお手伝い
もし「どう説明すればいいか分からない」「客観的なアドバイスが欲しい」という場合はお気軽にお問い合わせください。親子ご一緒でのご相談も承っております。
さて、逆に親世代の立場で子どもから「終活」についての提案を受けたとき、どう感じているのでしょうか?
次回は「親世代の心の準備」についてお届けします。
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