エンディングノートには、ぜひ残しておきたい情報があります!
書き進めていく中で、つい見落としてしまいがちな項目。
それが「お墓や葬儀のこと」「持病や薬・アレルギーなどの医療情報」です。
どちらも必要になるタイミングは違いますが、いざという場面では、ご家族や周りの方が最初に必要とする情報です。
今回は、そんな「見落としがちな大切な項目」について、なぜ書いておくと家族の助けになるのか、どう書くと負担が少ないのかを、行政書士の視点からやさしくお伝えします。
1.自分の身体に関すること
最初に、エンディングノートの中でも特に重要な「医療情報」について取り上げます。
いざという時にあなたのそばにいるのが、あなたの身体をよく知る方とは限りません。
ご家族であっても意外と把握していないことは多いものです。
緊急時に周りの方があわてず困らず対処できるように、次のようなことはぜひ書いておきましょう。
⑴病歴、持病など
・知ってほしい病歴や持病(書ける範囲で)
・かかりつけの病院、担当医、薬局の名前
・常備薬(あれば)
⑵アレルギー情報
・食物アレルギー、薬剤アレルギーなど
・どんな症状が出るか
・ぜんそくや持病の悪化ポイント
特に同居していないご家族は把握していないことが多い内容です。
⑶すぐに分かると助かる情報
・マイナ保険証や診察券の保管場所
・通院時に必要なもの(お薬手帳、医療費受給券など)
・緊急連絡先(かかりつけ医、病院など)
これらはノートに書くだけでなく、電話の横に置く・分かりやすく目に付く場所に貼っておくなど、すぐ見つかる工夫をしておくと、より親切です。
⑷告知や延命治療など、大切な意思表示
・告知を希望するかどうか
・延命治療を希望するかどうか
・献体の希望があるかどうか
・臓器移植についての希望
自分で意思を伝えられなくなったとき、または死後にご家族が判断を迫られるとき、ここに書かれたあなたの言葉が大きな助けになります。
ただし、あなたの想いとご家族の想いが一致するとは限りません。
「なぜそう考えるのか?」という理由も一緒に書いておくと、ご家族があなたの意思を受け止めやすくなります。
2.葬儀に関すること
毎日のように、葬儀の折り込み広告を見かけますが、実際に「どうしたいか」をご家族同士でお話しされている方は少ないのではないでしょうか。
しかし、葬儀は、亡くなってすぐに決めなければならない重要事項です。
どこで、どんな形で、誰に連絡するのか…
ご家族は悲しみの中でも、多くの判断を迫られます。
そんなとき、しっかりとあなたの希望が書いてあれば、すべてを実現できなくても、判断の大きな手掛かりになります。
・葬儀場の希望(生前予約や互助会、積立があれば記載)
・宗派や菩提寺の有無と連絡先(葬儀前に必ず聞かれます)
・葬儀に呼んでほしい人(人数の見当がつくと葬儀の規模を決めやすい)
・遺影に使ってほしい写真(データの置き場所も含めて)
・流してほしい音楽や装花の希望など
「派手じゃなく」「質素に」「家族だけで」などのあいまいな表現は、人によって解釈が違い、かえって混乱のもとになります。
希望があるなら、できるだけはっきり書くことがご家族への思いやりです。
その希望を踏まえ、実現出来ることと出来ないことを取捨選択すれば良いのですから。
逆に「これはしてほしくない」ということを書いておくのも良い方法です。
3.お墓に関すること
近年、墓じまいという言葉をよく聞きますが、お墓に関しても、元気なうちから話題にして、共通の認識が出来ている方はそう多くはないでしょう。
代々受け継いでいるお墓の場合、親は知っているけれど子には十分伝わっていないということがよくあります。
きちんとエンディングノートに書いておくことで、残されたご家族の負担を大きく減らすことができます。
・霊園、墓地管理者の連絡先
・将来の維持管理について
・納骨堂や永代供養の希望
・お墓がない場合、どのように埋葬してほしいか
近年はやりの樹木葬や海洋散骨、永代供養、都市型納骨堂など、まだ一般的でない方法を希望される場合。
資料や費用、具体的な場所などの情報を、できるだけ詳しく残しておくと親切です。
4.まとめ:周りの負担を減らすために
今回、取り上げた内容は、どれも自分自身のためでもあり、それ以上にご家族や周りの方の負担を軽減するための項目です。
知らないと判断できないことや、「本当にこれで良かったのか」という後悔が生まれやすい場面だからこそ…そんな気持ちをなるべく抱かせずに済むように、あなたの言葉で、しっかり残しておくことが大切です。
すべてを一度に完璧に書こうとする必要はありません。
まずは書ける範囲から書いていき、「あなたの取扱説明書」のつもりで手がかりを残していきましょう。
ときどき見返しては、修正や書き足しをしつつメンテナンスをすることで、あなたらしいエンディングノートになっていきます。
次回は最終回となります。
エンディングノートを生かして、遺言書を作成へつなげるために、知っておくべきポイントやノートとの違いを、行政書士の視点から解説いたします。
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