排出された産業廃棄物は、その排出事業者が責任をもって運搬、処分を行わなければなりません。
しかし、自ら処分し得ないときは、許可を受けた処分業者に委託をして行うことができます。
その際に、排出事業者が守るべき「保管基準」と「委託基準」、そして委託されて処分を行う廃棄物処分業者が守るべき「収集運搬基準」と「処分基準」(ここでは中間処理工程まで)を解説します。
排出事業者が守るべき基準
1.保管基準
排出事業者は自己の産業廃棄物が運搬されるまでの間、生活環境の保全に支障のないように、廃棄物を適正に保管する義務があります。
①保管場所の周囲に囲いが設けられていること。
②保管場所の見やすい箇所に、産業廃棄物の保管に関して必要事項を明示した掲示板(60㎝以上×60㎝以上)が設けられていること。
<掲示板に明示すべき事項>
・産業廃棄物保管場所である旨
・保管する産業廃棄物の種類
・保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
・積み上げることのできる高さ等
③ネズミの生息、蚊・ハエその他害虫が発生しないこと。
④飛散、流出、地下浸透、悪臭の発散のないようにすること。
(根拠法令:廃棄物処理法施行規則第8の13)
2.委託基準
排出事業者は、収集運搬または処分を他人に委託する場合は委託基準を守って、事前に書面で契約を交わさなければなりません。
①産業廃棄物の収集運搬を委託する場合にはその廃棄物の種別における当該業務についての許可を受けている収集運搬業者に、処分を委託する場合にはその廃棄物の種別における当該業務についての許可を受けている処分業者に委託すること。
②委託契約は書面で交わし、法令に定められた事項を記載すること。
<法令に定められた記載事項>
a.委託する産業廃棄物の種類及び数量
b.委託契約の有効期間
c.委託者が受託者に支払う料金
d.受託者の事業の範囲
e.委託者の有する委託した産業廃棄物の性状及び荷姿、通常の保管状況下での腐敗、揮発等の性状の変化等適正処理のために必要な事項に関する情報
f.委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る性状等の変化があった場合の情報伝達方法に関する事項
g,受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
h.委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項
<収集運搬の記載事項>
i.運搬の最終目的地の所在地
j.積替保管に関する事項
<処分の記載事項>
k.処分又は再生の場所の所在地、方法及び施設の処理能力
l.最終処分以外の処分(中間処理)を委託する場合は、当該産業廃棄物の最終処分の場所の所在地、方法及び施設の処理能力
③委託契約書には、処理業者の許可証を添付すること。
④契約書は、契約終了後5年間保存しておくこと。
(根拠法令:廃棄物処理法施行規則第6条の2)
収集運搬業者の守るべき収集運搬基準
①生活環境の保全義務
・廃棄物が飛散、流出しないようにすること
・悪臭、騒音、振動に対する必要な措置を講じること
②運搬車の表示義務
・車体の両側面に「産業廃棄物収集運搬車」であること、事業者の氏名又は名称を表示すること
③書類の携行義務
・運搬車には、氏名又は名称及び住所、運搬する産業廃棄物の種類及び数量、積載日並びに積載した事業所の名称、所在地及び事業所の名称、所在地及び連絡先を記載した書類を携行すること
(根拠法令:廃棄物処理法施行規則第6条第1項第1号)
処分業者の守るべき処分基準
1.中間処理の基準
①処分に伴い、飛散、流出しないようにすること。
②処分に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障が生じないよう必要な措置を講じること。
2.積替え保管の基準
①積替保管を行う産業廃棄物の種別ごとに定められた保管上限を守る
②あらかじめ積替後の運搬先を決めておく
③保管場所である旨の掲示を見やすい場所に行う
(根拠法令:廃棄物処理法施行規則第6条第1項第2号)
なお、埋立処分、焼却処分については別途基準が定められています。
事業者の皆さまへ
環境に配慮し、人の健康に害を及ぼすことがないように、適正に廃棄物を処理することは、これからますます重要視されるようになってくると思われます。
排出事業者の皆さま、処分の委託を受ける処分業者の皆さま、基準をしっかり守って、正しい産業廃棄物処理を行うようにしましょう。
これから産業廃棄物処分業を行いたい、と考えていらっしゃる事業者の皆さま。
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