エンディングノートを書いていて、一度も手が止まらなかった人は、ほとんどいません。
そんな方には、こうお伝えしたいです。
☆エンディングノートは「完成させるもの」じゃない☆
エンディングノートのシリーズも、ここまで8回お届けしてきました。
医療や介護の希望、家族関係、家系図作り、財産の整理、デジタル遺産など。
ぜひ書いておいていただきたいことを織り交ぜながら、たくさんのことを見てきました。
そして、今。
もしかすると手が止まってしまった方。
「なんのために書いているんだっけ?」とふと迷ってしまった方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方に向けた、ひと休みのための番外編コラムです。
今回は書く内容や技術の話よりも、「気持ちの話」を中心にお届けします。
1.書く手が止まっても大丈夫
エンディングノートは、普段あまり考えないことに向き合う作業が多いものです。
未来の医療や介護、家族、財産、人生の振り返りなど…。
前向きに取り組んでいても、ふと
・気持ちが重い
・考えるのがしんどい
・書く気力がわかない
・ペンを持ったまま何を書けばいいか分からない
そんな瞬間がやってくるかもしれません。
ですがそれは、書けないからダメなのではなく、あなたが一生懸命に向き合っている証拠でもあります。
立ち止まるのは悪いことではありません。
むしろ、自然で、普通で、誰にでも起きること。
ほんの少し肩の力を抜いてみてください。
2.原点に返ってみる~そのノートはあなた自身を助けるもの
エンディングノートを書き進めていると、つい「家族のために整えなきゃ」と思いがちです。
もちろんそれも大切ですが、実はエンディングノートを書く理由は、それだけではありません。
それは今と未来のあなた自身を助けるために書くということです。
・判断に迷ったときの「自分の答え」を残しておく
・自分の価値観や希望を見つめ直す
・過去を整理し、気持ちを軽やかにする
・今の自分を知るきっかけになる
エンディングノートは、遺言書を書く前の準備段階、基礎資料として、またご家族や周りの方への必要事項の伝達、といった役割がありますが、何よりご自分の道しるべとなるものです。
つまり、これからの人生を前向きに生きるために書いていくもの。
それがエンディングノートです。
書けなくなったときは、ぜひ「そもそも、なぜ書き始めようと思ったのか」を思い出してみてください。
それだけで、少し心が戻ってくるはずです。
3.1ページあれば家族の迷いが減らせます
・途中までしか書けていない。
・空欄がたくさんある。
・書けたページが少ない。
そんな不完全なノートでも、家族にとってはとても大切な手がかりになります。
行政書士として相続手続きのサポートに携わっていると、ご家族が必ず口にされる言葉があります。
「何も書いていないより、1ページでも残っていると助かります」
連絡してほしい人の名前が数人でも、大切にしている物が数点でも、好きなもののメモが数行でも。
それだけで、ご家族や周りの方は迷うことが減り、負担も心も軽くなります。
エンディングノートは「完成品」ではなく、あなたが考えた痕跡が残っているだけで価値のあるものなのです。
4.これまでのノートを一度見直してみませんか?
ここまでのシリーズで触れてきた項目は、じつはかなり幅広く、深いテーマばかりです。
一つひとつに向き合ってきたこと、それ自体が大きな成果です。
今、書いているノートに空白が多かったとしても、一度、パラパラとこれまでのページを眺めてみてください。
・すでに書いたページ
・書こうとして手が止まったページ
・まだ白紙のページ
その全部が、あなたがご自分と向き合って、考えてこられた証です。
書けない項目はまだそのタイミングではないだけかもしれません。
そして、これまで書いたことを見直していると、新たに書きたいことが出て来るかもしれません。
エンディングノートは書けるときに、書ける分だけ、自分のペースで積み重ねていけばよいのです。
立ち止まって振り返ったり、考えたり、休んだり…そうしてゆっくり書き進めていってください。
5.次のステップに進むために
次回は、「お墓や葬儀」「持病や服薬」など、ぜひエンディングノートで伝えておいていただきたい項目に触れていきます。
あなたのノートがもう一段階、実用的で安心できる形に近づいていくと思いますので、
今回のコラムは、その前の深呼吸の回と思っていただければ嬉しいです。
そして第1回から、エンディングノートの延長線上に、ゆくゆくは遺言書を準備されることを想定して、このシリーズを書いています。
これまでのゆっくりとした積み重ねが、遺言書へのステップアップへとどうつながっていくのか、もお伝えする予定です。
どうぞ無理のないペースで、またノートの次のページに進んでみてください。
行政書士わかぞの事務所では、エンディングノートの書き方だけでなく、遺言書、相続、終活全般のご相談をお受けしています。
「どの項目を優先すべきか迷っている」
「書いてみたけれどこれで良いのか不安」など、小さなことでも構いません。
どうぞお気軽にご相談ください。
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