1.廃棄物処理法の目的
『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』(廃棄物処理法)に定められた目的
- 産業廃棄物の排出を抑制する
- 廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理
- 生活環境を清潔にする
- 生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る
これらの目的を達するために、排出事業者の責任および廃棄物処分のルールが規定されている。
2.廃棄物の種類
産業廃棄物 …… 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定める20種類の廃棄物
一般廃棄物 …… 産業廃棄物以外の廃棄物
家庭廃棄物 …… 一般家庭で生じた一般廃棄物
特別管理一般廃棄物 …… 一般廃棄物のうち、特に有害なものとして政令で定めるもの
一般廃棄物の処理は市町村など地方公共団体が、一般廃棄物処理業者に業務委託を行い、収集運搬、処分を行う。
産業廃棄物は原則として、排出事業者が自らの責任で保管、運搬、処分を行う義務がある。
3.排出事業者の責任
事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。「自らの責任で処理」とは、自ら処理する場合と、処理業者に処理を委託する場合がある。
原則は、事業者自らの手で保管、運搬、処分をしなければならないが、それが出来ない場合は、許可を受けた廃棄物処理業者に委託することができる。
なお、委託を受けた許可業者は、自らの業務を再委託してはならないことになっている。これは責任の所在が曖昧になることや、不法投棄の恐れが高まることが理由である。
4.産業廃棄物の処理
産業廃棄物の処理とは、廃棄物が発生してから最終的に処分されるまでの、分別→保管→収集→運搬→再生→処分等の一連の工程をさす。
大きく分けると「収集運搬」「中間処理」「最終処分」の3工程がある。
「保管」……排出事業者から運び出すまでの保管工程
「収集運搬」……事業所から排出された産業廃棄物を中間処理施設や最終処分場へ運ぶ工程
「中間処理」……当該施設にて廃棄物を破砕、圧縮、焼却処理を施し減量化、資源化などを行う工程
「最終処分」……埋立、海洋投入、再生化等、環境を損なわないよう最終処分を行う工程
5.産業廃棄物処理の委託
産業廃棄物の排出事業者が自ら処理しえない時は、都道府県知事等の許可を受けた処理業者に処理を委託することができる。その際には、定められた委託基準を守る必要がある。
①許可を受けた処理業者と委託契約の締結
②産業廃棄物の引き渡し・マニフェストの交付
③廃棄物の収集運搬、及び処分
排出事業者は、産業廃棄物の引き渡しと同時にマニフェストを交付し、処理の各工程を確認し、管理しなくてはならない。
6.まとめ
排出事業者、委託を受ける産業廃棄物処分業者ともに、廃棄物処理法令に基づいて定められた各基準を順守する義務がある。
排出事業者 → 保管基準・委託基準
処理業者 → 収集運搬基準・処分基準
各基準に違反して、産業廃棄物の処理を行った場合には禁錮・罰金等の罰則が科される。