エンディングノートというと「人生の最終章に書くもの」と思われがちですが、実は「今の自分を整理するノート」として始めるのも素敵な活用法です。
はじめはたった数行でも構いません。気楽に書いてみませんか?
「いつかのため」ではなく「これまでを振り返り」「今を見つめ直す」…そんな作業を通して、気持ちが少しずつ軽くなるかも知れません。
では、具体的にどんなことを書いていけば良いのか?ということですが、今回は行政書士としての視点もまじえ、まず書きやすそうな項目に触れてみたいと思います。
1.最初はメモ感覚で大丈夫
市販のエンディングノートには「財産の一覧」とか「延命治療の希望」など、少し重たく感じる項目も並んでいます。
もちろん、それらはとても大切な情報ですから、ゆくゆくはエンディングノートにも盛り込んでいってほしい項目ではあります。
ですが、まずは書きやすいところから…
行政書士として遺言や相続のサポートをしている中でも、ご自分の考えをまとめるために、「最初はノートから始めておけば良かったかしら」とお話しされる方が多いです。
何でも初めてやってみるときは、簡単なことから始めますからね。エンディングノートも同じです。
最初は書くことに慣れていきましょう。
2.まずはここから書いてみよう
例えば、以下のような項目だったらどうですか?
①連絡してほしい人のリスト(親しい友人知人、親戚、職場の人など)
ここでのポイントは、とりあえず名前だけを書くことです。
連絡先も住所も…と探し出すと、時間がかかってしまい途中で疲れてしまいます。
分かれば書く、分からなければとりあえず名前だけ、で大丈夫です。
②大切にしているもののリスト(写真、アクセサリー、洋服、思い出の品など)
出来れば、今どこにしまってあるか(タンスの何段目の引き出し、何色のケースの中…)を、分かれば書いておくと、自分の備忘録にもなりますね。
後から誰かが探すときに、どうやらこんなものが、こんなところにあるらしい、ということが分かるだけでも助かります。
③私の好きなもののリスト(音楽、飲み物、食べ物、季節、色、場所など)
④私の嫌いなもののリスト(香り、飲み物、食べ物、色、動物、音楽など)
この好き嫌いの情報は、意外とご家族も把握していなかったりするものです。
そして、後から「どうしてあげたら喜ぶかな」とご家族が考えるときの、大きなヒントになったりもするので、ぜひ書いてみましょう。
⑤人生の節目で感じたことや思い出(子ども時代、結婚したとき、就職したときなど)
自分のこれまでを振り返って、心に残っていることや大切な記憶を記しておくことは、後からエンディングノートを読む人へのメッセージにもなりますね。
こんなことを考えていたんだな、そんなことがあったんだな、とあなたのことを理解する手助けになるでしょう。
そして、自分自身でも気が付かなかった想いや、周りの人のありがたさを、改めて感じる機会になるかも知れません。
⑥やってみたいこと、やり残していることのリスト
過去を振り返ってみて、そう言えばやってみたいことがあった、と思うかもしれません。
または、いきなりここから書き始めるのもアリだと思います。
エンディングノートは「これから」に生かすノートでもあるのですから。
一度書いたものを後から消すのも、思い付いたことを後から書き足すのも自由です。
思いつくままに、「これなら書けそうだ」と感じるページから始めるのが一番です。
書き始めると、自然と「これも残しておきたいな」「これも書いておこうかな」という思いが湧いてくるはずです。
3.写真や地図を活用してみる
エンディングノートをすべて文字で埋める必要はありません。
たとえば地図を用意して、行った場所に印をつけてみる、もしくは色を塗ってみる。
そこに簡単な思い出メモを書き込んでみる。
強く印象に残っていて取っておいた舞台や映画の半券、旅先でもらったパンフレット、絵葉書、写真などをクリアファイルに入れておく。
自分の気に入っている写真をノートに貼る、もしくはクリアファイルに入れておく。
もし遺影に使ってほしいと思う写真があれば、それを残しておくのも良いですね。
元気なうちから遺影だなんて…と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、亡くなった直後というのは、気持ちも整理できないうちから決めることが一度にやってくるものです。
そんな中で、ご家族が「一番あなたらしくてきれいに写っている写真を選びたい」と思っても、なかなか余裕がなくて難しいのではないでしょうか。
そのとき、あなたがご自分で選んだお気に入りの写真があれば、安心してそれを飾ってもらうこともできるでしょう。
4.まとめ
エンディングノートは
・自分の人生を整理し未来を見つめるきっかけになる
・家族や周りの人への思いやりを形にする
・遺言書の下準備になる
そんな役割を持つ、ゆるやかな「自分ノート」です。
自分を振り返りながら、書くのが楽しくなってきたら、少しずつ項目を増やしていきましょう。
そして書き始めるタイミングは「思い立った今」です。
まずは数行、1ページだけ、「これなら書ける」ということから、気楽に始めてみませんか?
行政書士わかぞの事務所では、遺言書の作成や相続のご相談をお受けしております。
「終活」の第一歩としてのエンディングノートについても、行政書士としてアドバイスできることがありますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
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