「終活を始めよう」と思ったときに、何から始めますか?
あれをやって、これをやって…と次々思い浮かぶ方は素晴らしいですし、どんどん実行していかれたら良いと思います。
ですが、「終活と言っても…」「何からやれば良いのかな」と迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じように、「遺言書を書いておこう」と思われたとして、果たして、いきなりペンを持ち、紙を前にして書き出せるでしょうか?
何から書こうか、そもそも何を書いたら良いのか、迷われる方が多いものです。
そんな時に役に立つのが「エンディングノート」です。
自分の気持ちやこれまでの人生、今の生活、これからの希望など、整理しながらまとめていくことで、自然と「終活」の道筋が見えてくるでしょうし、「遺言書」を書く下準備にもなっていくのです。
これからシリーズとして「エンディングノートの活用法」をお届けします。
エンディングノート自体、買ってはみたものの手を付けていないとか、全部書ききれなくて諦めてしまったとか、そんなご相談もいただきます。
そんな方には特に、難しく考えず気楽にこのシリーズをお読みいただいて、できるところ、書きたいところから、始めていただければと思います。
そして行政書士の視点から「エンディングノートの役割」と「遺言書との違い」についても、やさしく解説を加えてまいります。
1.エンディングノートとは?
エンディングノートは、自分の過去を振り返って整理し、家族や大切な人に伝えておきたい情報や想いを自由に書き留めておくノートです。
ただ、それだけではありません。
目的としては、自分の意思を自分で伝えられなくなった時のために、家族や周りの人に知っておいてほしい情報を書き残しておくこと、が大切な部分ではあります。
ですが、ノートを書いていく過程で、自分の記憶や思い出を振り返ったり、これまで出会った人や体験、人生全般をたどっていくことになります。
そうすると、自分のこれからに対する希望が見えてくることや、それを活力として未来へ向けた意欲につながったりもしてくるのです。
過去を整理することで、むしろ「これからの生き方」が見えてくるーそれこそがエンディングノートの大きな魅力です。
2.遺言書との違い
エンディングノートと遺言書は、目的が似ているようで、実は全く異なります。
| 比較項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり |
| 書き方 | 自由(市販ノートやアプリなど何でもOK) | 厳格な方式が決まっている |
| 主な目的 | 想いや情報を伝える | 財産の分け方を指定する |
| 書き直し | 自由に何度でも | 公正証書は作り直しに手続きが必要 |
エンディングノートには、どんなに懇切丁寧に自分の希望や情報を盛り込んだとしても、残念ながら法的効力はありません。
その代わりに、思いついたときに、自由に、何でも書ける気楽さが良いところです。
一方、財産の分け方などを正式に定めたい場合には、法律で決められた形式に沿って、遺言書という形で残す必要があります。
3.遺言書の準備段階としての活用
冒頭でも書きましたが、「いきなり遺言書を書くのはハードルが高い」という多くの方にとって、エンディングノートはとても良い入り口になります。
ノートを書いていくことには、遺言書を書くための準備として役に立つ、次のようなメリットがあります。
・自分の財産を整理し、全体像を把握できる
・誰に何を残しておきたいかが明確になる
・家族の負担を減らすための方法を考えられる
結果として、遺言書に書くべきことが見えてくるのです。
行政書士としても、実際の遺言書作成に入る前に、まずエンディングノートで考えを整理していただくことをおすすめいたします。
4.書き始めるタイミング
「まだまだ元気だから」「家族はよく分かってくれてるだろうし」と先延ばしにする方も多いですが、エンディングノートは元気なうちにこそ書くものです。
一度書いたら終わり、ではなく、ときどき見直しながら、自分の想いや事情・環境に変化があれば書き足したり書き直したり、少しずつ整えていく感覚で十分だと思います。
5.まとめ
エンディングノートは
・自分の人生を整理し未来を見つめるきっかけになる
・家族や周りの人への思いやりを形にする
・遺言書の下準備になる
という3つの役割を持つ、やさしい「終活の第一歩」です。
次回は、実際にエンディングノートに何を書けばよいのか、どのように書き進めたら良いのか?を詳しくご紹介したいと思います。
行政書士わかぞの事務所では、エンディングノートの書き方や遺言書のご相談をお受けしております。
「何を相談したら良いのか分からない」という段階でも大丈夫です。お話していく中で自然と方向性が見えてくることも多いものです。
女性行政書士が、ていねいにお話をお伺いいたします。
お問い合わせはどうぞお気軽に。
行政書士わかぞの事務所
