遺言書の作成はここに注意!~「残念な遺言」にならないためのポイント~

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行政書士わかぞの事務所
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自分が亡くなった後に、家族が困らないようにと遺言書を準備される方が増えています。

当事務所でもご相談を多くお受けしていますが、たまに「このままでは実際の相続手続きで困ってしまうかも知れない」と感じる遺言書に出会うことがあります。

遺言はその方が亡くなった後に発効するものなので、いざ実行する時にはご本人はいらっしゃいません。したがって、ご本人の意思を確認することができないため、厳格に方式が定められています。

ただ、その方式にばかり気を取られがちですが、遺言内容の整理も同じくらい大切です。

ここがあいまいだったり、不十分だったりすると、せっかく書いた遺言書がかえってご家族を困らせることにもなり兼ねません。

今回の記事では、以下の2点について解説いたします。
遺言書を書く際に何に気を付けたら良いのか?
②実務上でのポイントはどこなのか?
遺言書の作成を考えていらっしゃる方は、ぜひ参考にしてみて下さい!

目次

1. 遺言書は「書けば安心」ではない

1-1. 形式だけ整っていても、使いにくい遺言になることがある

遺言書には大きく分けて3つの方式があります。

公正証書遺言」と「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」ですが、このうち一般的なのは最初の二つでしょう。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自分の状況にあった方式を選ばれると良いと思います。

ただ、どちらの方式を選んだとしても、形式がきちんとしているだけでは遺言書としての役割を果たせない場合があるのです。

「財産の書き方が曖昧で手続きできない」
「実際に分けることを想定していない」
「その遺言を実行できる人がいない」など…

どの方式を選ぶかという以前に、遺言の内容をきちんと整理しておくことが、実際に「使える遺言書」を作る最初の大事なステップです。

1-2. 「誰に何を渡すか」を決める前に、まずは財産と家族関係の整理を

自分の持っている全ての財産を、一人の人に譲りたい」というシンプルな遺言を書くとします。

一見とても簡単な気がします。

ですがそれでも実際には確認しておきたいことがあります。

例えば、相手は法定相続人か?他の相続人との関係はどうか?受け取る人が実際に管理できるかどうか?など…それによって、その遺言が生きてくるかも決まってきます。

そんな「残念な遺言」を避けるために、まず最初にやることがあります。

・ご自分の財産には何があるのか?を把握すること

・誰が法定相続人になるのかを確認すること

・どの財産を誰に渡したいのか、大まかな方針を整理すること

・相続人の状況(事業の後継者、遠方に居住、障害等の有無など)を考えること

実際に遺言を書く前に、前提となる事実関係や希望を整理しておきましょう。

2. 財産の書き方で気を付けたいポイント

2-1. 不動産は登記どおりに書く

相続財産の中に不動産があるケースは多いでしょう。

その不動産を誰かに相続させる場合の書き方として、「私の自宅」などとするのではなく、一番良いのは登記事項証明書どおりの表記の仕方で特定しておくことです。

書き方の例としては以下のようになります。

(例)土地

所 在:千葉県松戸市中央松戸1丁目

地 番:100番地100

地 目:宅地

地 積:300㎡

また複数の不動産をお持ちだったり、昔に相続した不動産で名義がはっきりしなかったりするものも、この際ですからしっかり登記情報を調べて、自分の名義の不動産には何があるのか?を把握しておきましょう。

不動産に関しては、まずは登記事項証明書を取得してみることをおすすめします。

自治体から届く固定資産税のお知らせだけでは把握しにくい共有私道などが含まれていることもありますので、そういったものも全て書き出しておいてあげると、ご家族がうんと楽になります。

2-2.誰に渡すか、その人の状況も確認する

遺言を書くことで、自分の財産をあげたい人に譲ることができます。

ただし、完全に自由に決められるかというとそうではありません。

法律で決められた相続人がいて、その人たちには一定範囲で法定相続分があり、遺留分という最低限保証される取り分もあるのです。

その決まり事と自分の希望が対立することはないか?をあらかじめ把握するために、ご自分の相続人が誰か?ということはしっかり確認しておきましょう。

また、財産を譲りたい相手の中に、音信がつかない、所在が不明、遠方で連絡が取りづらい…などの事情のある方はいませんか?

障害や認知症などで、受け取った財産をきちんと管理・処分できない方はいませんか?

自治体やNPO、お世話になった団体などに寄付を考えている場合は、どんな形であれば受入れが可能なのかを調べておきます。

財産を譲りたいと思う相手がどんな状況にあって、その人に財産が渡った場合にはどうなるのか?実際に財産を譲ることは可能なのか?も含めて考えておくことが大事です。

2-3. 書いていない財産の行き先も決めておく

全部書いたつもりでも、思わぬところから思わぬ財産が出てくる可能性はゼロではありません。

その財産をめぐって、遺言書に書かれていないという理由から、結局、遺産分割協議が必要になる、というケースもままあります。

それを防ぐために入れておく一文があります。

この遺言に記載のない財産は○○○〇に相続させる」というのがそれです。

遺言を作る時には想定できなかった財産が出てきたときに備えて、それらを誰に相続させるかということも合わせて考えておきましょう。

3. 多くの人が見落としやすいこと

3-1.受け取る人が先に亡くなる場合もある

予備的遺言」と言われるところですが、遺言者と受遺者(財産を受け取る人)の年齢が近い場合、遺言者よりも先に受遺者が亡くなってしまうことも考えられます。

年の近いご夫婦や、ご兄弟などは珍しいことではないでしょう。

「世話になった妹に財産を譲りたいと考えていたが、妹が先に亡くなった」

「夫に相続してもらうつもりだったが、夫が先に亡くなってしまった」

こんな時に、その財産をどうしたいか?も遺言によって決めておくことができます。

最初に指定した受遺者が、遺言者よりも先に亡くなった場合は、その財産を誰に譲る(相続させる)か?ということも、場合によっては考えておく必要があります。

3-2. 相続人以外に財産を遺すときは慎重に

例えば、内縁の夫や妻は法定相続人ではありません

他にも生前お世話になった子の配偶者であったり、甥や姪、友人知人など、そのままでは相続人とならない人に財産を遺したい(遺贈)、あるいは社会のために役立ててほしいとの意思で財産を寄付(遺贈)したいという場合。

確実に渡したい相手に財産が渡るよう、その意思を遺言で遺しておく必要があります。

そして、自分の意思が伝わりやすいように、何を、誰に、どのように譲りたいのか、明確に記載しておきます。

それから、相続人ではない人に財産を譲る場合には税務上の取扱いが変わることがあり、場合によっては税申告が必要になる場合もあります。

遺贈する財産の額が大きい場合は、事前に税理士に確認するなどしておいた方が良いでしょう。

もうひとつ、遺贈では相手が受け取るかどうかを選ぶことができる、ということも押さえておきましょう。

代表的なものは不動産ですが、管理に手間や経費がかかる、権利関係が複雑で処分が容易ではない…などの理由で、そのままでは受け取りを拒否される可能性もあります。(特に自治体やNPOなどの団体への寄付では、遺贈として受け入れる財産を限定しているところもあります。)

相手が受け取りやすいように考えておくことも、遺贈においては必要です。

3-3.遺留分への配慮が必要なことも

配偶者、子や孫、父母などには法律で保障された最低限の相続分があり、これを遺留分と言います。

遺言の中では、自由に財産の分け方を指定できますし、遺産相続において遺言は優先されるものですが、遺留分に配慮が必要になる場合があります。

ただ、これは遺留分を無視した遺言を書いたら、即無効になるのか?というとそうではなく、遺留分の権利を持つ人から請求された場合には、相当する金額を払わなくてはならない、ということです。

つまり、請求されなければ問題はないのですが、その可能性が高い場合は、特定の相続人や受遺者に負担を強いることになり兼ねません。

遺留分の請求が想定される場合には、特定の相続人や受遺者に負担が偏らないよう、財産の分け方や現金の配分も含めて検討しておくことが大切です。

4. 遺言を実現しやすくするために

4-1. 遺言執行者を決めておく

遺言執行者というのは、遺言を実現するために必要な一切のことをする権利を持つ人です。

<参照>民法第1012条 
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

遺言執行者を決めておくことで、遺言の実行性が高まります。

例えば、先の「遺贈」のケース。

財産を受け取る人(受遺者)が遺言者の死を知り得る立場にあるかどうか?という問題が出てきます。

相続人にしてみれば自分の取り分が減ってしまうということになり、すんなり遺産を渡してくれるかどうかは分かりません。

そのため、「遺贈」を考える場合には、遺言執行者を決めておくことが重要になります。

相続人だけで遺産を分割する場合でも、実際の名義変更や預貯金の解約、払戻手続きなど、実際に誰がそれをやるのか?となると、一般の方ではてこずる場合があります。

相続人が大勢いる

・遺言の内容に不服を持ちそうな相続人がいる

・相続財産の種類が多く手続きが大変になりそう…

このような状況が想定されるのであれば、遺言執行者として信頼できる相続人、または行政書士や司法書士、弁護士などの専門家を指定しておくと良いでしょう。

4-2.付言事項で想いを伝える

遺言書に書けることは決まっており、「兄弟仲良く」とか「お母さんを大事にしてほしい」とかいった希望は、たとえ書いたとしても法的な効力はありません。

ですが、遺言の最後に「付言事項(ふげんじこう)」として遺言者の想いを書き残しておくことには、大きな意味があります。

残された家族にとっては、なぜそのような遺言にしたのか?という想いや背景を知ることで、遺言に対する納得性が高まりますし、遺言者の感謝や希望が伝わりやすくなります。

無機質にも感じられる法律用語で書かれた遺言の中に、遺言者の言葉で書かれた付言事項があれば、より温かみのある血の通った遺言になるのではないでしょうか。

ぜひ、付言事項は書いておくことをおすすめします。

4-3. 公正証書遺言か、自筆証書遺言かを選ぶ

方式についても少し触れておきます。

遺言を公正証書として残すか、自筆証書で書くかは、遺言者や相続人の状況、また遺言内容によって一番適しているものが変わってきます。

内容が複雑で、財産も相続人も多い…という場合は、方式の不備による無効を避けるためにも、専門家に相談して公正証書とした方が良いでしょう。

<参照>公正証書遺言についての詳細はこちら➡「日本公証人連合会 遺言」について

今後も、頻繁に内容に変更が生じる可能性が高い場合や、費用をかけられないなどの理由で、自筆証書とした方が勝手が良い場合もあります。

その時は、法務局での遺言書保管制度を利用するなど、有効性を高める方法も検討してみて下さい。

<参照>自筆証書遺言の保管制度についてはこちら➡「法務省 遺言書保管制度」について

ただ、どちらの方式を選んだとしても、今回の記事でいう「事実と内容の事前整理が大事」ということには変わりありません。

5. 遺言書は作って終わりではない

5-1.見直しを考えたいタイミング

遺言書を書くと、もうこれで自分の相続のときは何も心配することはない、と思うかも知れません。

ですが、一度作ったとしても、見直した方が良いタイミングというものがあります。

例えば遺言に記載した不動産を売却した。預金口座を解約した。逆に、新たに不動産を取得した。相続させたい相手が変わった…などの場合。

その結果、遺言通りに実行すると、「相続人の間でかなりアンバランスな分け方になってしまう」とか、「指定されていない財産について遺産分割協議が必要になる」と言ったことが起きてしまうのであれば、遺言を見直して、書き換えるか、その部分を補填できるような新たな遺言を作成することも必要になってきます。

5-2. 古い遺言のままでよいか迷ったら?

遺言書を作ってから実行するまでに時間が空く場合、状況が変わることは大いにあり得ることです。

もしも、昔の遺言書のままで良いだろうか?と迷ったら、その遺言書通りに実行した場合を想像してみましょう。

それで問題なくいけそうであればそのままで良いでしょうし、どこかに不安要素があったり、何かしら不具合が起きそうなのであれば、見直しを検討した方が良いかも知れません。

大事なのは、その遺言が「今の状況に合っているかどうか」ということです。

その際は、前に作った遺言との関係も含めて考える必要がありますので、ぜひ専門家に相談するなどしてください。

6. まとめ:遺言書は「その遺言書が実現できるかどうか」の整理が重要

遺言書を書く機会は、人生でそう何度もあることではありません。

色々な本や雑誌、相談会やセミナーなどを参考にして、真剣に遺言書を書かれる方にとって、「無効になる」ことは絶対に避けたいことだと思います。

また、家族が遺産をめぐって争ったりすることのないように、との思いから「公平に」「みんなで分けてほしい」という希望がある方も多いでしょう。ただ…

その遺言の内容で実際に相続手続きができるのか?

その書き方で財産の受け渡しが可能なのか?

公正証書であれ、自筆証書であれ、遺言書を開けて確認したときに、家族や受遺者がスムーズに財産を受け取れるかどうかを、頭の中でイメージしてみることが大事です。

せっかく遺言書を書くのですから、「残念な遺言書」ではなく「使える遺言書」となるよう、おひとりでは難しければ、専門家の力を借りるのも手です。

行政書士わかぞの事務所では、遺言書作成サポートとしていつでもご相談をお受けしています。

初回無料相談のご利用も可能です。お気軽にお問い合わせください。

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