親の「もしも」に直面したとき、頼りになるのが法定後見制度
この記事を読むと分かること
- 法定後見制度が「一生やめられない重い制度」から「必要な時だけ使える制度」に変わります
- 2026年の民法改正による3つの変化(類型の一本化とスポット利用・終身制廃止・申立人の事前指定)
- 新制度がいつから使えるようになるのか
- 家族として今のうちに準備しておきたいこと
「親が最近、契約ごとの判断が怪しくなってきた」
「認知症の診断を受けて、預金の管理や不動産の手続きをどうすればいいかわからない」
――高齢の親を持つ方なら、一度はこうした場面を想像したことがあるのではないでしょうか。
このように、本人がすでに判断能力を失っている、あるいは著しく低下している場合に利用できるのが「法定後見制度」です。
家庭裁判所が後見人等を選び、本人に代わって財産管理や契約手続きを行います。
ただし、この制度には長年、次のような使いにくさが指摘されてきました。
・一度利用を始めると、本人の判断能力が回復しない限り、一生やめられない
・生活全般の財産管理を全て後見人に委ねる形になり、本人の意思が十分反映されない可能性がある
また、「一度申し立てたら、親が亡くなるまでずっと続く」という重さが、家族にとって申し立てをためらう理由の一つになっていたのです。
今回の法改正を受けて、その使いにくい法定後見制度が、どのように変わっていくのか?
この記事では、いざというときに自分を、そして高齢の親を守ってくれる法定後見制度を正しく理解していただくために、改正ポイントを中心にお伝えします。

2026年6月の改正民法により成年後見制度が見直し
2026年6月17日、成年後見制度の見直しを盛り込んだ改正民法が成立しました(公布は同年6月24日)。
法定後見制度に関わる大きな改正のポイントは次の3つです。
01.類型の一本化
現行の「後見・保佐・補助」の3類型がなくなり、「補助」に一本化されます。
これまでは、本人の判断能力の程度によって、使える制度が自動的に決まっていました。
判断能力を欠く(=ない)と判定されれば、後見人が生活全般の財産管理を包括的に引き受ける形になり、日常のこまごまとした支払いまで含めて委ねることになります。
「実家を売りたいだけなのに」と感じても、そこだけを切り出すことはできませんでした。
改正後は、必要な行為ごとに支援の内容を組み立てる形に変わります。
実家の売却について代理してもらう、遺産分割の手続きを任せる——必要なことだけを頼み、それ以外は本人の手元に残す——そういう使い方ができるようになります。
助手<br>にゃん子<br>助けてほしいことを、家族と本人が選ぶことができる、ということですね。
02.終身制の廃止
これまでは、本人の判断能力が回復しない限り、制度の利用をやめることができませんでした。
改正後は、判断能力が回復していなくても、利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、そこで終えられるようになります。
実家を売るために制度を使ったのなら、売却が済んだ時点で。遺産分割のために使ったのなら、分割が終わった時点で。当初の目的が果たされたと考えたときに、いつでも終了を求めることができます。
「一度始めたら、親が亡くなるまで続く」という重さがなくなる。
ここが、家族にとって最も大きな変化かもしれません。



一生やめられない…って重い感じがしてたんですよ。
そこが変わるんですね!
03.申立てできる人をあらかじめ指定できる
本人が元気なうちに、公正証書によって「将来、自分のために後見(補助)の申し立てをしてくれる人」を指定できるようになります。
頼れる身内がいない、または近くにはいない場合でも、信頼できる友人や専門職を指定しておくことで、いざという時にスムーズに制度を利用できるようになります。



この申し立てをしてくれる人、というのが大事です。
いざという時にスムーズに制度を利用できるように備えておきます。
※施行はまだ先で、システム改修や運用整備のため、実際に使えるようになるのは早くても2028年ごろの見込みです(公布から2年6か月以内)。
今すぐ申し立てられる制度ではありませんが、「今後、もしものときに使う可能性がある制度」として知っておく価値は十分にあります。
家族にとっての意味
これまでの「一生続く重い制度」というイメージが変わり、「実家の売却」「遺産分割」など、必要な場面に絞って利用しやすくなる見込みです。
将来、親の判断能力が低下したときの選択肢として、心理的なハードルが下がると言えるでしょう。
なお、今回見直されるのは、判断能力が低下した後に使う「法定後見制度」が中心です。
まだ判断能力があるうちに、本人が自分の意思で後見人を決めておく「任意後見制度」もあります。
こちらについては、別記事で詳しくご紹介します。


今からできること
・親の資産状況や希望について、元気なうちに話し合っておく
・判断能力の低下に気づいたら、早めに行政書士や社会福祉士など専門家に相談する
・新制度の施行スケジュールを、今後もニュースなどでチェックしておく
制度が変わるのを待つだけでなく、家族間で話し合いを始めておくことが、いざという時の安心につながります。
本記事の内容は2026年8月時点の情報に基づいています。改正民法の施行時期や具体的な運用ルールについては、今後の政省令や家庭裁判所の運用によって変更される可能性があります。実際の手続きにあたっては、行政書士や弁護士など専門家にご相談ください。
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