エンディングノートを母に渡した日~がん手術のあと、お盆の帰省で~

ブログタイトル、クリスマスローズの写真と共に

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行政書士わかぞの事務所
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今回は、手続きや制度の話ではなく、私自身の体験談としてお伝えします。
ご興味のある方は、目を通していただければ幸いです。

このお盆に帰省したとき、母に自作のエンディングノートを渡しました。

渡す直前まで、少し迷っていました。
ノートの中身には、介護のことも、葬儀のことも、終末期の医療のことも入っています。
「まだそんな歳じゃない」「縁起でもない」と言われるかもしれない。
せっかくの帰省が気まずくなったらどうしよう。
実は少し前から渡したいと思いつつ、踏み切れずにいたのです。

結果から言うと、母はあっさり受け取ってくれました。
「ありがとう」と。

母は数か月前、がんの手術を受けています。

幸い手術は成功し、いまは小康状態です。
離れて暮らしているので、日々の様子はLINEや電話でしか分かりません。
母も心配させるようなことは言わないし、私も顔を見ながらではなければ突っ込んだことは聞けません。

直接、母と話ができる貴重な機会に、私が知りたかったのは、二つでした。

ひとつは、母の健康状態です。飲んでいる薬、これまでの経過、いま現在の状態など。
万が一また体調を崩したとき、離れて暮らす家族が何も分からないというのは、想像以上に心細いものです。

もうひとつは、母自身がどうしてほしいと思っているのか、ということでした。
終末期の医療のこと、施設のこと、お葬式のこと。
知っておきたいけれど、面と向かって「どうしたい?」とは、なかなか聞けません。
聞けば、「もう長くないと思われている」と受け取られてしまうかもしれない。

娘としては、母の希望を聞いておいて、もしも自分で意思表示できなくなったとしても、できるだけ叶えてあげたいという思いからの「知りたい」なのですが、上手く伝えるのは難しいです

エンディングノートは、この聞きづらさを肩代わりしてもらう道具になり得ます。

すんなり受け取ってもらえたのは、たぶんタイミングでした。

母は最近、終末期の医療のことや介護施設のことをYouTubeでよく調べているそうです。
初めて大きな病気をして、自分の最期について考える時間が増えていた
「自分でも、そろそろ何か書いておかないと」と思っていたところに、ちょうど娘がノートを持ってきた、という順番だったようです。

渡す側がどれだけ言葉を選んでも、相手の気持ちがそちらを向いていなければ、たぶん響きません。
逆に、向いているときには驚くほどすんなり入ります。
私は運が良かっただけかもしれませんが、少なくとも「説得する」という場面は一度もありませんでした。

今回渡したエンディングノートは市販のものではなく、自分で作りました。

これまでの暮らし、健康、財産、介護や医療など、必要だと思われる情報を書き込めるシートを準備します。
それをクリアブックに一枚ずつ入れ、バインダーに綴じていく形式で、書き損じても、書き足したくなっても、コピーすれば増やせます。

保険証券や通帳のコピー、病院の書類なども、同じバインダーに一緒に入れておけるようにしました。
すべて書くのは大変でも、必要な情報としてとりあえず入れておく、挟んでおくだけで済むのは簡単ですよね。
一冊の本のように「最初から順番に埋めていく」形でも良いのですが、より情報を集約できるように、1冊でまとめられるようにと考えたのです。

「全部じゃなくていいよ。書けるところから、書きたいときに書いてね」とだけ伝えました。

渡したあと、母のほうから話し始めたことがありました。
ひとりで暮らしている家族のことです。
もし何かあったとき、誰が気づいてくれるのか。誰が手を貸してくれるのか。
外とのつながりが多くない分、そこが気がかりなのだ、と。

自分が高齢になっても、やはり心配するのは子どものこと。
いくつになっても、心配でたまらないようです。

エンディングノートというと、書く本人のための備えのように思われがちですが、実際にそこに書かれるのは、残していく人への思いやりでもあります。
今回、ノートを渡していなければ、この話は聞けなかったと思います。

エンディングノート自体に、法的な効力はありません。

財産の分け方を決めておきたいのであれば、遺言書という別の形が必要になります。
それでも、本人の希望や身のまわりの情報がひとつにまとまっているだけで、残された家族が迷う場面はずいぶん減ります。

いま、母のノートはまだほとんど白紙のはずです。
少しずつ、自分の書けるところから埋めていってくれたらそれでいいと思っています。
渡してみて分かったのは、エンディングノートは「完成させるもの」ではなく、話を始めるためのきっかけなのだということでした。

もし、ご両親が最近、健康のことや将来のことを口にしているなら、それはひとつのタイミングかもしれません
うまく渡せるかどうかは、正直やってみないと分かりません。
私も、渡してみるまでは不安でした。

エンディングノートを渡しながら、母のこれからを支えるためにはどうしたらいいのか?ということを改めて考えましたし、母はいま、どんな風に考えているのか?を少しでも知ることができました。

何より、これからは介護や医療についても屈託なく話せるようになるのではないかな、ということが一番の収穫です。

エンディングノートについては、以前、ブログでも書き方や活用の仕方をお伝えする記事を書いていましたが、実際に自分が家族に渡してみる場面で感じたこと、起きたことを今回お伝えしました。

もしご高齢のご両親やご家族の今後について、話し合うきっかけを探しておられる方がいらっしゃれば、少しでもこの体験談が何か参考になればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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本記事は、筆者の個人的な体験と一般的な情報をもとに執筆したものであり、特定の状況における判断や結果を保証するものではありません。ご家庭の事情によって適切な進め方は異なります。個別の手続きについては、専門家にご相談ください。

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