飲食店の営業許可が下りたら、次はいよいよ開店準備へ。
実は「許可」を取ってから「開店」までにも、やっておくべき大切な手続きがあります。
このチェックリストで、開店直前の抜けや漏れを防ぎましょう。
はじめに
保健所の調査も終えて、いよいよ営業許可証を受け取り、「やっとここまで来た!」とホッとされる方が多いと思います。
ただ、営業許可が下りたあとも、実は開店までに済ませておくべき手続きや準備がいくつかあります。
ここを抜けや漏れなく丁寧に進めておくことで、営業開始後のトラブルや手間を省き、スムーズにやりたかった飲食店のサービスを軌道に乗せていくことができます。
今回は、行政書士の立場から、営業許可取得後にやるべきことを簡潔に、分かりやすくまとめてみました。
開店準備の最終チェックリストとして、ぜひ参考にしてみてください。
営業許可証の内容確認と掲示の準備
まずは、営業許可証の交付を受けたら、その内容を確認しましょう。
①営業者の氏名(または法人名)
②施設所在地
③許可の種類(飲食店営業、喫茶店営業など)
④許可年月日、有効期限
特に「営業者名」「所在地」「業種」は申請内容と一致しているかよく確認しておきましょう。
飲食店の営業に際しては、店内の見やすい場所に営業許可証を掲示する義務があります。
また、今後の更新や変更届に備えて、控えのコピーを一部取っておくと安心ですね。
万が一、営業許可証を紛失してしまった場合は…
許可証の再発行はしてもらえません。保健所から「営業許可証明書」を交付してもらいましょう。
食品衛生責任者の選任と資格証の掲示
飲食店を営業するためには、必ず1名以上の食品衛生責任者を置く必要があります。
すでに講習を受けたりして資格をお持ちの方がいれば、その方を食品衛生責任者として届出たり、通常、店のオーナーが食品衛生責任者であれば問題はありません。
もしも、許可申請の時点から開店までの間に、食品衛生責任者が変わった、という場合は、新たにその人を食品衛生責任者として届け出る必要があります。
食品衛生責任者の資格証自体は、店内掲示の義務はありませんが、自治体によって運用が異なる場合がありますので、許可を受けた保健所に確認しておくと確実です。
消防署への届出と防火管理の確認
火を使う飲食店では、消防署への届出が必要になります。
代表的なのは次の3つです。
①防火対象物使用開始届出書(営業開始の7日前までに提出)
②消防設備設置届(消火器・火災報知機などを設置した場合。設置から4日以内)
③防火管理者選任届(一定の面積や収容人数を超える場合に必要)
事故や災害の防止という観点からも、営業開始前にガス機器や電気機器の設置状況、いざという時の避難経路の確保や誘導などの対応についても、確認しておきましょう。
店舗によっては、消防署の立ち入り検査が行われる場合もあります。
税務署・市区町村への届出
営業許可が下りたら、税務関係の届出も忘れずに行いましょう。
個人事業主の方の場合
・個人事業の開業・廃業等届出書(開業後1ヶ月以内を目安に)
・青色申告承認申請書(青色申告を希望する場合)
・給与支払事務所等の開設届出書(スタッフを雇う場合)
提出先は税務署のほか、県税事務所や市役所等になります。
「開業日」は「営業許可が下りた日」ではなく「実際に営業を開始した日」を記載すればよいでしょう。
開店前の衛生管理体制を整える
営業を始める前に、もう一度、店内の衛生環境を見直しておきましょう。
飲食店経営にとっての一番のリスクは、食中毒などの事故を起こしてしまうことです。
それを防ぐためにも、食材や調理環境、従業員の体調管理など、衛生管理についてはしっかり体制を整えておくことが求められます。
・冷蔵庫や冷凍庫の温度計を確認(毎日確認し、チェックシートに記入)
・清掃用具・洗剤・消耗品の補充(定期的な補充、毎日の清掃実施もチェックシートへ)
・害虫・ネズミ対策の実施(排水口や窓、網戸の隙間などを確認)
・従業員の体調管理記録簿の準備(毎日の検温表、身だしなみチェックシート)
・調理手順書や保存方法の確認
最近では「HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理」が求められています。
ひとつひとつ確認して、チェックシートに記入を行ったりする作業は面倒に感じますが、記録を地道に行うことが安全な衛生管理に繋がります。
保健所への変更・更新届出の把握
営業許可を取ったあとも、以下のような変更がある場合は保健所への届出が必要になります。開店後すぐに必要なわけではありませんが、営業を続けて日々忙しくなると、つい届出のことは忘れてしまいがちです。
さまざまな手続きを行っているこのタイミングで、しっかり把握しておきましょう。
・営業者名や店名が変わった
・所在地を変更した
・設備の一部を改修・増設する
・営業を休止・廃止する
また、飲食業営業許可には有効期限(通常5年)があるため、更新時期も忘れずにチェックしておきましょう。
開店直前チェックリスト
最後に、開店前の確認事項をリストにしておきます。
これらをひとつずつ、抜けや漏れがないようにチェックしながら、確実に開店準備を完了させましょう!
□ 営業許可証を掲示した
□ 食品衛生責任者を選任し、資格証を掲示した
□ 消防署への届出を済ませた
□ 税務署・市区町村への届出を済ませた
□ 店舗の衛生・温度管理を確認した
□ メニュー・価格表示を整えた
□ 保険(火災・賠償責任など)に加入した
まとめ
営業許可が下りたあとも、実際にお店をオープンするまでには、いくつかの手続きと準備が残っています。
「許可=ゴール」ではなく「ここからがスタート」と考えて、ひとつずつ丁寧に進めていきましょう。
保健所や消防への届出など、行政の手続きは慣れないと分かりづらい部分が多くあります。どれもご自分でやってやれないものではありませんが、開業準備で忙しい!一人でやるのは不安がある!という場合であれば、ぜひ行政書士にご相談ください。
飲食店営業と合わせて、他の営業形態も考えている場合は(深夜にお酒を出すなど…)また別の手続きが必要になったりします。
そんな時も、行政書士であれば一緒に行うことができますので、お気軽にお問い合わせください。
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行政書士わかぞの事務所
