あなたにもしものことがあったら、ご家族は「どうしたい?」の答えを探すことになります。
エンディングノートの活用法シリーズ第4回は、「これを書いておくとあなたに何かあったときの助けになる。ご家族や周りの方が助かる」ということについて、お伝えしたいと思います。
エンディングノートには思いつくままに、自由に書いていただければ良いのですが、やはりその中にもこれは書いてほしい、書いておくと有用だということがあるのです。
「財産のことについて」…?「銀行口座や家のことについて」…?そんな風に想像される方が多いのですが、実は「医療や介護の希望」に関する情報こそ、ご家族や周りの方が一番知りたい部分なのです。
あなたが病気やけがで、ご自分がどうしたいか、どうして欲しいかを判断できない、あるいは伝えられなくなったとき、それでもご家族はあなた本人の意思を頼りに決断しなければなりません。ですが、どうやって?
だからこそ、そんなときのために「自分はこんな時、こうしてほしい」という気持ちを、あらかじめ書き残しておくのです。
そうすれば、直接あなたに聞くことができなくても、ご家族や周りの方は、あなたの気持ちを知り、意思を確認し、より納得して決断することができるようになるでしょう。
医療の希望を書いておく意味
もしものときに「延命治療を望むかどうか」をご家族が判断するのは、とてもつらいことです。
たとえば次のような内容を、考えた範囲でメモしておくだけでも十分です。
書いておきたい項目(例)
・延命治療(人工呼吸器・心臓マッサージなど)を希望する/しない
・意識が戻らない状態になったときの希望
・苦痛を和らげるための緩和ケアを受けたいか
・信頼している医師や病院があればその名前
難しく感じたら「こんな形が望ましい」という気持ちレベルでも、まずは構いません。
たとえば「できるだけ自然な形で見送ってほしい」「できるだけ長く生きていたい」「家族が納得できるならそれに任せたい」…など。
はじめからこうしてほしい、こんな時これはしないでほしい、と具体的には書けないことがほとんどでしょう。
ですから、まずは自分の気持ちを記してみる。
そうして、考えていく中で少しずつ「こうしてほしい」という希望が見えてきたら、またそれを書き足していくと良いと思います。
と言うのも、「気持ち」レベルのメモはどうしても抽象的になりがちです。
ご家族や周りの方が判断する際に、実際の身体状況や、取り得る手段、そうして予想される結果や可能性などとの兼ね合いで、本当にあなたの気持ちに沿えているのかどうか、やはり迷う部分が出てくると思います。
もしもエンディングノートに「医療に対する自分の気持ち」を書いた場合は、そう思う理由も一緒に書いておいたり、折に触れてご家族に「こんな風に思っている」と話しておかれると良いですね。
介護に関する希望も書いておく
医療と同じように、介護についても「どう過ごしたいか」を書いておくと、ご家族や周りの方が判断する際の助けになります。
書いておきたい項目(例)
・自宅で過ごしたいか/施設を希望するか
・介護について相談してほしい人(家族やかかりつけ医、病院など)
・介護費用について
・食事や生活のこだわり(好きな食べ物、生活のリズムなど)
・持病や服薬の情報
介護が始まると、家族は「日常生活の細かいこと」で迷う場面がたくさんあります。
ご本人の想いが少しでも分かると、介護の方向性を決めやすくなります。
要介護状態になってからの生活をどうするか、ということは、経済的な事情と切り離せないことです。
どんな希望を持っていても、それがどうしても叶わないことはあるでしょう。
だからこそ、今のうちから、自分の経済的な余力と、周りから得られそうな支援を考えあわせて、どんな生活ができそうか?と考えてみることがとても大切です。
出来れば、気になる施設やサービスを見つけたときに、パンフレットをもらっておいたり、見学に行ってみたり、利用している知人に評判を聞いてみたりして、情報を集めておきましょう。
元気なうちからエンディングノートを書き始めると良いこと、のひとつが、こうして自分で動けるということです。
そして集めた情報は、クリアファイルに入れたり、ノートに貼ったりして残しておくと、後々それを見たご家族が何かを決める際のヒントになるでしょう。
医療や介護についての書き方のコツ
すぐには決められないことですし、突き詰めて考えてみたことがない、という方がほとんどだと思います。
それに「今の気持ち」や「今、集めた情報」も、年月が経てば変わっていきます。
それでも大丈夫です。
エンディングノートを書いた時点の気持ち、希望、情報などを日付とともに記しておけば、その後に自分で書き足したり変更したりしても、変化が分かり、ご家族や周りの方もその変化を読み取っていくことで、とても参考になるはずですから。
まとめ:気持ちを伝えるノートとして
エンディングノートは、自分の最期を決めるためのものではなく、「これからどう生きたいか」ということを自分で見つめ、ご家族や周りの方と共有するためのノートです。
そして、時が来れば自分のかわりに希望を伝え、気持ちを理解してもらう助けとなるように、書き残しておくものでもあります。
家族や周りの方が迷わなくて済むように、医療や介護については、まずは一言で構いません。
「つらくないように、痛みは取り除いてほしい」
「安心して任せられるこんな施設で過ごしたい」…
そう思った理由とともに、メッセージとして残していきましょう。
まだ早いかな?と思う今こそ、エンディングノートを開いてみてください。
行政書士わかぞの事務所では、遺言・相続・終活のご相談を承っております。
エンディングノートの書き方についても、行政書士の視点からアドバイスすることができます。
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